私の会社の仲間で、ふじうら君というひとがいた。若いときは、コピーライター、CMプランナーだったが、ミュージシャンでもあり名の知れたMac使いでもあった。昔の言い方だとマルチメディアディレクタってやつをやっていた。私のところに来たときには、一見、図体のでかいこわもてのおっさん風になっていたが、人生の遊び方がとても素敵なやつだったもんだから、いつも傍らにいてほしい存在だった。彼は、いろいろな楽器が扱えたが特にベーシストとしての才能に秀でていた。会社じゃあ小うるさい白髪のおっさんなんだが、ひとたびステージに立つと陽気で素敵な伊達男になっていて、その流れるように奏でる指先は、鮎のように滑らかなきらめきで、女性でなくても惚れてしまう艶っぽさがあった。私のところにいたときに、ステップ休暇や有給休暇をめいっぱい使ったら何日休めるかを真剣に計算し80日間アジア有給放浪の旅ってのを認めてくれと言ってきた。あんまり面白かったので、会社に掛け合って送り出したこともあった。家族にもいろいろ迷惑かけたんだろうなあとは思うけれども、ほんとにすごいひとで、会社にあっても自由人を貫いた。東工大大学院に行っていた理科系のあたまも持っていたので、早くからパソコン通信をやりインターネットの時代になってからは、「ふじうら.こむ」というサイトを作っていた。その彼が、今年、癌でなくなった。われわれは、楽しいやつを失ったことを大変残念に思い、悲しんだ。
ながなが書いたけれども、ここからが言いたいこと。彼がいなくなったあとも、彼のサイト「ふじうら.こむ」は、息子さんたちが管理してくれていて、いまも存在している。このサイトにはいろいろ面白いコーナーがあるが、実は、ラグタイムを中心とした音楽の譜面検索リスト(List of Lesson Soft)、関連サイトのリンク集にもなっている。これは、彼の音楽に対する愛情と情熱、幅広く且つ奥の深い博識、きめ細かな取材と緻密な分析、世界中にいる幅広い友人関係、大金をはたいて揃えた楽譜、資料、ビデオ、DVD、レコード、テープ、CD群の成果である。おそらく個人でココまでそろったデータベースは少ないだろう。日本でラグタイムやブルースなど音楽を楽しむ人や学ぶ人たちだけでなくプロの人たちにも大事なサイトになっている。これが散逸しないことを望むのは私だけではないだろう。息子さんたちにはご苦労なことだとは思うけれども、少なくともサイトだけは、維持しておいてほしい。会社ではあまり成果を挙げてくれなかったが、音楽の世界では大変な偉業を打ち立ててくれた。これが文化っていうもんじゃないかな。まさに、ふじうら君は、死して「ふじうら.こむ」を残した。ありがとう。合掌。興味沸いたら、いまもある「ふじうら.こむ」にぜひ行ってみてください。http://www.fujiura.com/index.htm
2009年9月11日金曜日
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